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論説:バラクーダを見分ける | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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オニカマスとオオカマスは、名前も見た目も似ているので間違いやすいことは確かです。ニセクロスジギンポとホンソメワケベラほどは似ていませんが、ヨスジフエダイとロクセンフエダイくらいは似ています。しかし、実際に海で見たことがないとしても見分けるためのヒントをいくつか知っていれば、これらを見間違えることは少ないでしょう。 ダイビング雑誌などで、バラクーダが渦を巻いているとされる写真がよく見られます。これは、「オニカマスは渦を巻くような群れは形成しない」という知識があればその意味で矛盾を感じます。渦を巻いているのはほぼ間違いなくオオカマス(可能性としてはオオメカマスかタイワンカマスなどかも知れないが、ここでは除外)で、その場合「バラクーダの渦」として紹介するのは正確ではありません。オニカマスはたいてい単独か数尾であまりかたまらず生活しているようで、せいぜい数十尾の群れを成すこともあるようですがまれです。 個体を見た場合、もっとも目立つ違いはオオカマスに見られる体側の縞模様と、オニカマスの尾鰭に見られる独特の模様ではないでしょうか。オニカマスは縞模様が薄く、銀色ですが胴体に小さな斑点が見られる場合があります。また、尾鰭に独特の模様が見られることもあります。なにしろオニカマスの成魚は大きく、普通は1m前後か、それ以上になることも珍しくありません。 |
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インターネットは世界中にコンテンツを公開することができます。「オニカマス」または「バラクーダ」として写真を公開している例を下記に挙げておきましょう。 たぶんオオカマスをバラクーダと呼んでいる例 オオカマスをバラクーダと呼ぶのは自由です。といっても厳密には正しくはありません。オオカマスをオニカマスとして紹介するのはあまり褒められたことではありません。ダイバーとして知っているに越したことはないので、今度このような大型の魚が現れるポイントに潜る場合には、このような違いを意識して観察してみるのはどうでしょうか。 最後にお口直しとして、本物のオニカマスの写真を掲載しているサイトを紹介します。 正しいバラクーダの例 |
主にインターネットなどでカマス科の写真などの資料を掲載しているものは間違っているものが多く、比較的分かりやすいオニカマスとオオカマスの区別もままならないなど混乱しています。日本で見られる以外の種のカマスも多数あり、和名、英語名、学名の関係が必ずしも明らかに整理出来ていませんが、かき集めた情報をもとに下表に示します。おそらく誤っているもの、不正確なものも存在すると思われます。中でもオオカマスはさまざまな種と混乱しているようで、英語にすると厳密に何を指すのかよく分かりません。
和名 |
英語名 | 学名 |
オニカマス | great barracuda | Sphyraena barracuda |
オオカマス | blackfin barracuda | Sphyraena putnamiae |
banded barracuda | ||
sawtooth barracuda | ||
オオカマス? |
pickhandle barracuda | Sphyraena jello |
オオカマス? |
blackfin barracuda | Sphyraena qenie |
アオカマス? |
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タイワンカマス |
yellowtail barracuda | Sphyraena flavicauda |
ホソカマス |
arrow barracuda | Sphyraena novaehollandiae |
オオメカマス | bigeye barracuda | Sphyraena forsteri |
アカカマス | yellowtail barracuda? | Sphyraena pinguis |
ダルマカマス | obtuse barracuda? | Sphyraena obtusata |
ヤマトカマス? |
japanese barracuda | Sphyraena japonica |
? |
sharpfin barracuda | Sphyraena acutipinnis |